【ダンゲロスmore】完走した感想【後編】
この記事は【ダンゲロスmore】完走した感想【前編】 - じゆうじんちょうの続きになります。
目次的な
- はじめに
- moreにおける自分のテーマ
- 赤月ショウキというキャラ
- プロローグ
【ここから後編↓】
- 対戦相手発表
- 第1回戦開始
- 結末
- おわりに
対戦相手発表
これを見た時、理解が追いつかなかったのを覚えています。
まずステージ。ほかの舞台は『貯水ダム』や『凍結湖』、『ガレオン船』とちゃんとバトルステージっぽい雰囲気かつステージギミックの説明があります。
しかし、ここノトジマ水族館に書いてある情報は「デートスポットとして人気だよ」以外に存在しない!!!!
なんだよこれ!!!!
しかもノトジマ水族館こと能登島水族館は実在するからタチが悪い。
つまり、こちらと対面の作者は、スタート時点で地形を把握しているということ。これを拡張するもよし、そのまま使うも良しというわけです。このせいで文章力と構成力に秀でた対面の方が有利だと感じていました(僕はそもそも地形を扱うのが苦手)。
ここで僕に与えられた選択肢は二つ。一つ、ノトジマ水族館をバトルステージとして利用し、5000文字ちゃんと使って想定された能力バトルを描くこと。二つ、デートすること。これはめちゃくちゃ悩みました。後者の方が色んな意味で美味しくて面白くなるけれど、それはやっていいのか? と葛藤しました。デートプラン2日使って練りながら。
結局は自分の土俵でやり合うことにしたわけですが、その理由として、バトルしても勝てないって思ったのがあります。
対戦相手の分析に移りましょう。
対戦相手は甚喜ひかりさん。
同じ剣士系かつ応用の効く能力、単純スペックでは上位互換ですね。斬り合いになったら瞬殺されそう。
幸いにもキャラクターとしては丸めのデザインであり、動かすことに一切の苦労はありませんでした。
参考程度に執筆前のメモを載せておきます。
分解してみると、ひかりさんはストイックに戦士ではあるものの、戦いを楽しむことを忘れない余裕があることがわかりました。そこで、この時はバトルは引き分け、デート中に1本取ったから負けて貰う。みたいな試合に勝って勝負に負けるスタイルでいこうと思ってました。
プランは『炎属性付与-俺-』によるフレアドライブを仕掛けるも、反動ダメージでダブルノックダウン。格下に引き分けたひかりさんが負けを認めるという流れですね。
辞めた理由は二つ。
一つ、面白くない。
少なくともショウキくん視点は格下が勝つところに期待値があると思うので、メタゲームに負けてしまいます。メタゲームの負けは詰みと同義であるため、ここだけはブレてはいけないと思いました。
二つ、負けを認めてくれなさそう。
ひかりさんは多分、自分の剣技にプライドがあります。少なくとも、引き分けは引き分けであり、卓外戦術で一本取ってもそれは別案件かなと思いました。
あと、そろそろそういうのやめて話を書きたかった。
というわけで、ひかりさんと真っ向勝負することになりました。マ???
ここの時点で、残りの執筆期間は3日程度だったと思います。マジで何やってんだこいつ。
勝つためには勝てる理由が必要
再びバフとデバフの話になります。
まずはショウキくんに盛られたバフです。
ショウキくんは、主人公の属性を持ち、対面で同系の強者を引き当てることができました。つまり弱い方を無意識に応援したくなる心理を得ることができたと考えます。
また、願いは開示済みであるため、何のために戦うのかという目的も共感しやすくなっていると思います。情報隠蔽ギミックは読者視点でマイナスになりやすいです。対面が隠していたこともあり、気持ち有利になっていたのではないでしょうか。
また、こちらが開示した情報として、泳げないがあります。これは水族館を引いたのが僥倖でした。水族館なら泳がなくて良いからです。
こちらは泳がなくて良い(次節で使えば良い)。対面はこちらの全部を使い切りたいから泳がせようとする。たいへんだぁ(人事)。
さて、そんなバフデバフを撒き散らしてからの本編です。
能力バトルを書くのは初めてだったので、今回は視点とキャラの考え方を意識しました。
特にひかりさんの情報を読者が拾えるようにすることを意識しました。プロローグは濃厚な地の文かつ難しい言葉も多く、読み解くのに能力を求められるなと感じていました。そのため、自分の小説に出てくるひかりさんへの解釈違いを恐れたのです。
また、デートパートとバトルパートのスイッチ構築を活かすために、メリハリを付けたいとも思っていました。
緩急をつけて、一気に落とす。
これが勝ち筋の一つです。そのため、ひかりさん視点→ショウキくん視点→ひかりさん視点の構成となりました。
デートパート
ここでやること
- ひかりさん>>>ショウキくん
- 速攻で勝たない理由付け
- ショウキくんの勝ち筋準備
- ひかりさんのキャラ紹介
- 嵐の前の静けさ(エモめ)
ひかりさんは飄々とした獣のような人です。ショウキくんはただの高校生であるため、彼女から見たら群れからはぐれた子鹿のような生き物に見えたでしょう。
ひかりさんの目的は武者修行です。これは本編でも書きましたね。そのため、その気になるまでふざけて遊んで貰いました。
そうして遊んでいる間に、ショウキくんは勝つための準備を進めていく。ひかりさんはそれを知ってるけどあえて放置する。ゆえに、正面衝突することができるわけですね。
あと、5000字バトルは短距離走型のショウキくんだとぶっちゃけもたない。
バトルパート
ここでやること
- ひかりさん>>>ショウキくん
- ひかりさんに罠へ踏み込んでもらう
- 骨喰を化け物にする
- ショウキくんが戦術で勝とうとする
- 炎属性付与-俺-
- 空を晴れにする
厳密にはどこからバトルかは曖昧なところがありますが、僕の中では「━━いいね」と感じた瞬間を切り替わったシーンに考えていました。あそこでひかりさんは獣から捕食者に変わるんですね。殺意バリバリ。
今思うと、バトルパートは全体的に余裕が無かったですね。自分が考えているやらないといけないことをやっただけで字数制限に入ってしまい、戦いを研磨することができなかったと感じています。特にエンドポイントになるショウキくんがひかりさんを大空へ吹き飛ばしたシーンでは、「イシカワに来てから雨空しか観ていなかったひかりさんが、雨雲一つない空と海を見て『案外悪くないね』と感じて決着する」という個人的にエモいシーンを目指しましたがいまいち上手くやれてなかったと思います。
また、炎属性付与-俺-も惜しかったです。僕はアレを予想外の展開として狙っていた(対面は炎属性付与-ひかり-で燃やすネタを使うかなと思っていた)のですが、思いっきり被った上に読者の方も想定内だったと感想をいただきました。精進します。
エピローグ
ここでやること
- メイちゃんを出す
デートとバトルは二人の世界にしないとエモさが欠けてしまうので、メイちゃんを出せるのはここしかありませんでした。嘘です。忘れてました。ねじ込めたかもしれません。
メイちゃんはひかりさんの女房役として、悔しさの受け手となって貰いました。
ひかりさんは常に雨が降るイシカワに戻ってきた。それなのに再び雨が降ってきたという。何を見たのかはメイちゃんにはわからないけれど、そのままその言葉を受け止めよう。そんな二人の関係性。
……これマジで勿体無いな。バトルパートの余裕がなかったことが尾を引いてしまい、総合的な打点不足に陥ってる気がします。悔しい。
第1回戦開始
初見のワイ「……勝った?」
いやマジでそう思いました。
読後ワイ「なんであの文体捨ててきてんだよ、勿体無さすぎでしょ、そもそも爽やか感だと俺は無敵みたいなところあるから合わせてくるのは無限に負けみたいなところあるし、このアイコンわかんないし、視点変更ガツガツしてるから頭ん中ぐるぐるして酔ったし……」
でも読み返せば読み返すほど、構成の面白さに気づきました。こちらの情報を丁寧に拾うことで個々の立ち回りに理由があり、ひかりさん側が出していなかった情報は〆で使うことで期待を持たせる。〆だから物語の根幹にならず、なくても良い部分だけどあるともっと面白い所。
この舞台に慣れていると感じてしまいました。
あと、感想のバリエーションが広いんですよね。良かった点も惜しかった点も、色んなことを言われている。それは、読者に色んな視点を持たせる力があるということ。
僕の作品はみんなが口を揃えて「デートが良かった」と言って貰えましたが、ネガティブに言うならそこ以外は惜しい部分になっていたと言うことなんですよね。バランス感覚じゃないけど、総合力で負けたなと思いました。
結末
3:7で敗北。
全体を見ても、最も差を付けられて負けてしまいました。
悔しくて眠れない日があるくらいショックでした。負けた理由がわかるからこそ、あの時……!と後悔が襲ってくるんですよね。
おわりに
運営様へ
今回は誘って下さり、ありがとうございました。イロモノ枠としてご満足頂けたでしょうか? 次回はもっと楽しくしたいと思います。
読者様へ
デートパート、楽しんで頂けたようで何よりです。自分のできることを最大限に活かしつつ、Hyogaという作者に期待しているところをやれたかなと思います。
次はバトルから逃げずに熱く濃厚にやりますので、どうぞよしなに。
ひかりさんの作者へ
首洗って待ってろ
おわり